「準備」
自分がどの様な主将としてチームを成長させていくべきか、ずっと明確な答えを求めてました。
昨年、実力もラクロスIQも高かった先輩達でさえ叶えられなかった「一部昇格」
実力も実績もない自分が主将になることで、果たして達成できるのだろうか?ましてや昨年より強いチームにできるのか?
お世辞にも「できる」とは言えませんでした。
意識的に他の部活の人達に運営方法を聞く日々。
気づいたのは、根本的な体育会としての弱さでした。
「一部昇格」を掲げるのは良いけれど、達成する為の土台が出来ているのか?
明確なチームの仕事割、トレーニングやストレッチを教えてくれるトレーナー、スカウティングの細かさ…
他の部の取り組みに驚かされることが多く、上智がいかに発展途上であったのか、痛感しました。
そこからはとにかく情報収集に力を入れました。拓実さんや潮さん、大石と他大学のコーチの方々に話を聞くことができた時間は貴重でした。
個人的にも、他のコーチの方や他大学の元主将の方々にアドバイスを求めに行ったりと、今の上智にないものがあれば何でも取り入れるつもりでした。
みんなが気づかない様な細かな事から、大きな事まで多くのことを実行してきたつもりだったけれど、どのラインに達すればチームが成長したと言えるのか?
何をもってそれらの取り組みが試合に活きたと言えるのか?
そんな線引きも出来ない中で、手取り足取りやっている時間は本当に辛かったです。
特に上南戦で敗北した時。
1年間の前半の成果を発揮する場であったはずなのに、負けたことで「リーグ戦まであと1ヶ月しかない」という焦りが生まれたし、自分がやってきたことを唯一証明できる試合という場で、結果を出せなかったのは予想以上にこたえました。
夏合宿でもそれは続きました。
3試合組んで0勝。
リーグ戦前の最終調整とは思えない試合が続き、焦りが生まれ、選手の顔にも苛立ちが見えました。
夏合宿から2週間もない期間の中で修正して、リーグ戦に万全の状態で臨めるのか本当に不安でした。
そんな自分にとって、自分達の可能性に気づくことが出来た初戦は、個人としてもチームとしても本当に大きかったです。
夏合宿でDF陣がこれ以上ないくらい悩んで、夜中まで話していたのは知っていたし、たくみさんも夏合宿から帰った後、長い時間自分との電話に付き合ってくださいました。
それらの話し込んだ時間が、今までの自分の細かな取り組みが、試合に繋がったんじゃないかと、そう思いたいけれど、未だにその確証を得る事は出来ないし、引退しても分からない事だと思います。
でもリーグ戦を戦っていて、実力そのものだけが試合に出るわけではないと、心から思いました。
要は何が言いたいかというと、
試合の為の何気ない「準備」一つ一つや、試合の為に掛ける些細な「時間」の積み重ね、絶対量が
いかに重要なのか、という事です。
壁当て・ストレッチ・道具の手入れなど個人的なことから、チームの雰囲気作りまで、全部準備です。
毎日の練習時間だけじゃ、ミーティングの時間だけじゃ、絶対調整できていない事あります。
みんなが本気で最後の試合の為に「準備」して、「時間」を積み重ねれば絶対に勝てます。保証します。
青学を圧倒できる60分にする為に、目の前にある最後の期間くらい、全部犠牲にしましょう。
ちなみに「準備」関連で、サッカーの岡田監督の言葉に影響されたことがあります。
台風の影響で延期になり、試合までの感覚が掴みづらくなった今だからこそ、この文章を読んで欲しいです。
「勝負の鉄則に『無駄な考えや無駄な行動を省く』ということがあります。
考えてもしょうがないことを考えてもしょうがない。
負けたらどうしよう。負けてから考えろ。
ミスしたらどうしよう。ミスしてから考えたらいい。
『余計なことを考えて今できない、なんて冗談じゃない』と言います。
できることは足元にある。
今できること以外にない。
それをやらないと、目標なんか達成できないんです。」
今、試合に出る選手一人一人ができることは何でしょうか。
目の前の練習1つ1つに集中すること、壁当て、ストレッチ、道具の手入れ、試合のイメージ、スカウティングの確認…
あらゆる面で試合当日までベストを尽くすことです。
ベストです。98%ではなく、100%の準備をして下さい。
4年生へ
主将である自分が、真面目な4年生をどう使うか(悪い言い方になってしまいますが)が今年勝てるか勝てないか、大きく分ける鍵になることは分かってました。
それなりに皆んなに役割を与えていこうと考えてきたけれど、リーグ戦の結果から見て、自分はまだまだでした。
もっと環境を用意するべきだったし、個人面談してでも意見を汲み取るべきでした。
でも細かな所を見れば皆んながチームを勝たせたい、と思って発言したり、あえてふざけたりしていたことも分かっていました。
そんな同期に甘えていた自分もどこかいたと思います。本当にありがとう。
4年間多くのことを犠牲にしてきたけれど、皆んなと練習した時間に取って代われるものなど、そう多くないはず。
最後はしっかり、結果で示せる4年でいましょう。
今年のリーグ戦では多く出場機会を貰っているのにも関わらず、僅か1得点。
主将として、何よりOFMFとして点を取りにいきたい。
でもそれ以上に、とにかくこのチームで勝ちたい想いが強いです。
その為なら泥臭くグラボを拾うし、これまでの試合以上に走ります。
リーグ最終戦、勝つのと負けるのとじゃ全然違います。
終始圧倒しましょう。
そして、1部へいきましょう。
VITAL
19年度 上智大学男子ラクロス部 主将
久保田壮一