『下手だから』
元々1年生の頃は同期で上手な方だった。初めてクロスに触れた時からパスキャが大好きで、よく右京や壮一と日が暮れるまで公園でパスキャをしていた。
1on1得意だし足速いし、持ち替えもスムーズだったし俺上手いなって思ってた。サマーは決勝トーナメントに進出し、10月にはボブや壮一と共に経験枠で上級生のAチームに参加。レベルの高さに圧倒されたがなんとか食らいついて、リーグデビュー戦で初得点を決めた。
ここまでのラクロス人生、順風満帆だった。
だが2年からは上手くいかないことが増えた。
怪我でプレーができない期間もあった。その間に同期はどんどん成長し、置いてけぼりにされたような気分にもなった。後輩のりっきや俊平、友成が台頭してきたのも、俺にとっては喜ばしいことではなかった。
自分は変わってないのに、周りが上手くなることに焦りばかり感じていた。
復帰しても、元のようにプレーできなかったらどうしようと怖がっていた。何もかも順調だった1年の頃の自分が脳にチラついていた。本当はそんなの虚像だったにも関わらず。
プレーが上手くいかなかったり、ミスをしても言い訳ばかり考えていた。まだ慣れていないから、今日は体調が悪いから、味方のパスが悪かったから、時々上手くいったシーンだけをビデオで何回も再生して、必死に自分を甘やかしていた。
3年になっても変わらなかった。
2月に骨折をして半年間練習に参加できなかった。復帰した後の自分も相変わらずだった。精神的に弱かった。そんな自分を直視することができず、怪我のせいにした。弱い自分を知りたくなくて、そこに壁を作った。
リーグ戦でボックスに入れても出場機会はほぼゼロだった。1年の頃の虚像はいつしかずっと遠くにいた。
4年、鎖骨を折った。5ヶ月の離脱。ようやく復帰したのは上南戦の1ヶ月前だった。下半身は自由に動かせたため、下半身のトレーニングをずっと行った。クロスを触れるようになってからは、ほぼ毎日壁に通い、シュート練もした。
だが、復帰してAに上がった時、プレーしていたのはまたも弱い自分だった。
迎えた上南戦、上智は2-3で敗北。俺はATの5枚目だった。誰か1人が怪我をしても、大量リードしても恐らく出場することはなかった。
俺は、どうしようもなく下手だ。
そんな当たり前のことに気づいたのは、この時だった。
気づくタイミングは今までいくらでもあった。2年の最初のチーム分けでBになった時、プレで逆キーマンにされた時、3年の入れ替え戦でボックスを外れた時。
遅かった、遅すぎた。でも変わらなきゃいけなかった。弱い自分に、下手な自分に向き合った。自分の中で、何かが吹っ切れた。
上南戦後はMDに転向した。
それからは、「どうしたら後悔しないか」を軸にした。OFとして、MDとしてチームが目指している形に自分がどう貢献できるかを試し続けた。
トライアンドエラーの連続でミスをすることも多かったが、とにかく楽しかった。「今日はこれが出来るようになった。明日はあれに挑戦してみよう」まるでラクロスを始めた頃のようだった。1年の時の虚像なんて、いつしか消えていた。
自分がいつも思い描いていたスタープレイヤーとは程遠いかもしれない。身体は強くないし、圧倒的なクロスワークやシュートスキルがあるわけでもない。ただこのチームの勝利に貢献できるようにあがき続けるしかない。青学戦まで残りの練習は3回。俺はまだ成長できる。みんなもまだまだ上手くなれる。
筑波戦からは試合にもたくさん出られるようになった。あの頃と比べたら、ちょっとは成長と言えるかもしれない。ただ全然満足はしていない。まだまだ超下手くそだし、チームの目標は「1部昇格」。この目標を達成するまでは駆け続けるしかない。
フィールドに立って、「責任」を強く感じた。1年生、Bチーム、試合に出られない人がいるのに中途半端なプレーができるはずがない。弱気になろうものなら、1年生、Bチーム、コーチ、いつも応援や支援をしてくださる方々、両親、2部という舞台を残してくれた'16'17'18の先輩、今の部の基盤を作ってくれたOB、なによりこの部に入部を決意した3年前の自分に顔向けができない。
青学戦に向けて、最高の準備をしよう。そして60分間、絶対に走り続けよう。
自己紹介が遅れてすみません。
文学部新聞学科4年の川地隆史です。
せっかくのラストブログ、自分の思いを前面に伝えたくてこのような書き出しになりました。
ここからは、チームの皆へのメッセージを書きます。引退飲みや追いコンでも伝えられるので、コンパクトに収めます。
1年生
まずはサマー3位、本当におめでとう。ここ最近の上智の中で最高の成績なんじゃないかな。何をするにも初めてな1年生。そのフレッシュさが心底羨ましいです。その感覚、4年間忘れないでね。今の1年生の強みは「考える力」だと思います。練習の反省や試合中のボックスでの声を聞いてても、よく考えてると思います。俺が言いたいことは大体1年生の誰かが言ってくれる。ウィンターでは早稲田に勝って優勝しような。
2年生
人数が少ない上に、たくさん辞めていって正直1番苦労している代だと思います。でも大丈夫、今残ってるやつらはみんな強いよ。辞めていった子達も。それぞれの道で活躍できるよう願っています。練習を見てても、なんとか上級生に食らいついて上手くなろうとしてるのがよく伝わってくる。全員がチームのことを考えて一丸となったらもっともっと強くなれると思う。
3年生
今年のリーグ戦で2勝できてるのは、間違いなく3年生のおかげです。俺ら4年より全然上手いし、発信もしてくれる。頭が上がらないです。4年が不甲斐なくてごめんな。お前らと一緒にラクロスできて良かった、くそ楽しいもん。来年も期待してます。意見がいっぱいぶつかり合うと思うけど、決してお互いが納得するまで諦めずに話し合ってな。
コーチの方々
忙しいのにもかかわらず3人(+まっすーさん)の方にはほぼ毎週来てくださって感謝でいっぱいです。僕は幹部としてコーチとチームの運営について話し合っていたわけではありませんが、プレーの中で、特に試合中に僕らが行き詰まった時に一歩引いた目線でアドバイスをしてくれてとても助かりました。
いがさん、フレッシュマンコーチを担当してくれてありがとうございました。いがさんがいなければサマー3位という結果はあり得ませんでした。7月以降は自分自身のことに手一杯になってしまい、ほぼ育成に関われず申し訳ないです。ウィンター、絶対に優勝しましょう。
同期
多くは言いません。皆が同期で本当に良かった。意見がぶつかり合っても、腹を割って話せる存在で本当に良かった。皆の存在が今の僕の頑張れるモチベーションです。
青学戦勝って、壮一にやよい軒ご馳走しようや。
今まで支えてくれた両親には、自分の口からお礼を伝えます。ただ部員の皆にも知っておいてもらいたいことがあります。
上野千鶴子さんが東大の入学式のスピーチでこう言いました。
「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。」
今までラクロスを続けられる環境を整えてくれたのは、間違いなく両親です。ラクロスを続けられる環境って結構ハードル高いです。僕らは恵まれてます。その事だけは忘れないようにしましょう。
すごく長くなってしまいした。ごめんなさい。ここまで読んでくれてありがとうございます。明日からも練習頑張ります。悔いの残らないようにします。応援のほど、よろしくお願いいたします。
VITAL
#37 川地隆史